庄司興吉先生「中間」講義

2012年1月21日、清泉女子大学において、退職される庄司先生の特別講義がおこなわれました。 話は先生の幼少期にさかのぼり、疎開先の山形から都心の中学に進み、当時の最先端の文化や教養に触れていったご様子を窺うこともできました。 社会科学に深い関心を…

仁平典宏先生「世代論を読み直すために:社会・承認・自由」

仁平典宏先生「世代論を読み直すために:社会・承認・自由」(湯浅ほか編『若者と貧困』2009所収)を読みました。世代格差論への優れた要約、と新聞の書評欄で紹介されていたからですが、確かに、多くの情報を手際よく整理し、著者氏の主張も明快で、たいへ…

自己啓発セミナー今昔/神谷光信先生著『ワーナー・エアハードとest』

小久保温先生に間接的に教えていただき、神谷光信『ワーナー・エアハードとest』2011、を入手、読了しました。目下ネット通販のみの扱いです。 http://www.mybookle.com/indiv/bookle/2553 日本ではあまり知られた名前とは言えませんが、アメリカ1970年代の…

上野千鶴子先生講演会「生き延びるための思想」

2011年7月9日、東京大学本郷キャンパス・弥生講堂にて表題の講演がおこなわれ、拝聴してきました。 震災復興支援とも銘打たれたこの講演は、先頃東大名誉教授になったばかりの、上野先生の長年の研究姿勢を振り返る90分でもありました。 世代を反映し、やは…

堀江宗正先生著『若者の気分 スピリチュアリティのゆくえ』/スピリチュアル・ピープルの現代的実像とは…

「ニューエイジ宗教は必ずしも新しくない」等と言われて久しいですが、現在の日本で、スピリチュアルを信奉する、しかもその中でも若い人の実像とはどんなものなのでしょうか。この本では、その難しいタスクにチャレンジしています。スピリチュアリティのゆ…

中西新太郎先生著『若者の気分 シャカイ系の想像力』(ブログ加筆修正しました)

教養衰退後のオタク的心性は、非政治的だと解釈されそうですが、この本で中西先生は、青少年向けのジャンル「ライトノベル」を読み解く限り、必ずしも非政治的とは言えない、と結論しています。シャカイ系の想像力 (若者の気分)作者: 中西新太郎出版社/メー…

本田由紀先生著『若者の気分 学校の「空気」』

俗に「中2病」などと言いますが、現在の中学2年生たちをめぐる状況は、どうなっているのでしょうか。本田先生のこの本ではそれを、神奈川の中学2年生および親御さんたちへの大規模なアンケート調査から論じています。学校の「空気」 (若者の気分)作者: 本…

ニューエイジは人類教になりうるか New Age Healers and the Therapeutic Culture

ニューエイジ・ヒーラーさん100人以上にインタビューしたというJames Tuckerの論文"New Age Healers and the Therapeutic Culture"(Imber編著の8章)を読みました。 自己犠牲・絶対主義・普遍の真理といった特徴をもつ宗教的ドグマは、セラピー文化と、見…

インターネットのセラピー的効用?:Online Communities in a Therapeutic Age by Felicia Wu Song

インターネット上の様々なコミュニティは、衰退しつつあるとされるアメリカ社会の共同性に取って代わるものになるのでしょうか。「ノー」である、とTherapeutic Culture所収の論文でFelicia Wu Song先生は示唆しています。 オンライン・コミュニティは本質的…

イギリス心理主義のゆくえ: Therapeutic Culture in Britain by Frank Furedi

Therapeutic Cultureを読み始めて2週目。今週は、Frank Furediの"The Silent Ascendancy of Therapeutic Culture in Britain"です。 アメリカがセラピーずきなのは自明だとしても、ではイギリスではどうなのでしょうか。著者氏は前半、いろんな事例を非常に…

Therapeutic Culture by Jonathan B. Imber 心理学的発想からのアメリカゆとり教育?

Therapeutic Culture: Triumph and Defeat作者: Jonathan B. Imber出版社/メーカー: Routledge発売日: 2004/06/30メディア: ペーパーバック クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見るジョナサン・インバー編の上記の本を今期の大学院ゼミで読んでおり…

千田有紀先生編『上野千鶴子に挑む』

上野千鶴子に挑む作者: 千田有紀出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/03/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 67回この商品を含むブログ (11件) を見るという本が刊行されました。 小生も「社会学は当事者に何ができるか」という小論を寄稿いたしまし…

菅野優香先生講演会「クィア・ロマンス――少女映画の力学」

を拝聴してきました。 アメリカでは男性ふたり主人公の映画が人気を博しているいっぽう、日本では、女性同士の関係性を描いた映画が人気なのが好対照であると言います。そのことを、映画「NANA」「下妻物語」「かもめ食堂」を題材に、「クィア理論」を用いて…

陰謀論、悪魔主義、そしてカルト論争

と学会関連の本で、こういうものがあります。トンデモフリーメイソン伝説の真相作者: 皆神龍太郎,有澤玲出版社/メーカー: 楽工社発売日: 2009/12メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 34回この商品を含むブログ (5件) を見る科学ライターの皆神龍太郎さんと…

ラスベガスの催眠セミナー、再び。(ヘンテコピープルUSA)

読みたかったと思っていた本が翻訳刊行されました。ヘンテコピープルUSA作者: ルイ・セロー,村井理子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/10/25メディア: 単行本 クリック: 28回この商品を含むブログ (11件) を見るイギリスBBCに、「ルイ・セローのウ…

『バラエティ化する宗教』刊行。

石井研士先生編『バラエティ化する宗教』という本が刊行されました。バラエティ化する宗教作者: 石井研士出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2010/10/01メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (5件) を見る小生も「テレビメディアで語られるスピ…

ジェネレーションXのための宗教社会学

Sociology of Religion for Generations X and Y作者: Adam Possamai出版社/メーカー: Routledge発売日: 2009/03/01メディア: ハードカバー クリック: 13回この商品を含むブログ (1件) を見るhttp://www.amazon.co.jp/dp/1845533038/ という本を院ゼミで読ん…

GREEK

アメリカの大学キャンパスに行くと、似たような大きさの一軒家が建ち並び、しかも、そこにギリシャ文字2〜3文字のロゴがつけられていることに気づきます。それが、Fraternity&Sorority、つまり男子友愛会、女子社交会などと訳されているものです。 おこな…

『宗教研究』特集・スピリチュアリティ

日本宗教学会機関誌『宗教研究』(1915-)365号が刊行されました。 スピリチュアリティ特集号です。(大学図書館等に配架されるまで若干タイムラグがある場合があります) 窪寺俊之先生「スピリチュアルケアへの宗教の貢献」、島薗進先生「救済からスピリチ…

ライムスター公開収録

NHK教育、佐野元春さん司会で、毎回ゲストを迎え、学生さんたちを聴衆にして毎回収録されている「ソングライターズ」をまた観覧してきました。今回のゲストはRHYMESTERでした。 そもそも佐野さんの「Visitors」は、日本語でラップに挑戦した最初のアルバムと…

LOST in 24 hours

FOX人気ドラマ、LOSTは、いよいよファイナルシーズン。真田広之さんも登場しています。 かつてのビバリーヒルズ90210のように、「人気があるから長く続けざるを得なくなってしまい、話に無理が出てきた」感がなくもないですが(笑) 話は、オーストラリアか…

社会貢献するMTV?

「サバイバー」「あいのり」などで始まったリアリティ・ショーも、もはや1ジャンルを形成した感がありますが、最近は多様化していますね。 音楽チャンネルだったMTVもこの分野に進出してずいぶん経ちます。日本でもいくつか放映されています。 面白いのが「…

レポートを書く際などに役立つ書籍について、毎年同じような本を紹介しているということもあり、これからブックガイドのかたちでリストを更新していきたいと思います。日々更新されます。 ★日本人の宗教データ 石井研士2007『データブック現代日本人の宗教 …

SATC2

が公開中ですね。 これのテレビシリーズ、最初のシーズンぐらいまでは、ウッディ・アレンの映画を意識して作られているような気がしました。 ・性をめぐるドタバタに巻き込まれる ・NYが舞台 ・カメラ目線で視聴者に語りかけるシーンが多かった ・恋敵などが…

「宗教と社会」学会

の大会が今年も開かれました。 中には、この17年の同学会で何が問われてきたのか、といった発題もありました。 それによると、(他にもいろいろ指摘がなされていましたが)やはりオウム以降の「カルト」問題をどうとらえるか(研究者の立場の自覚)、そして…

映画など

樫尾直樹先生著作の合評会も盛況のうちに終了しました。 宗教研究者の立場性という、古くて新しい問題が論じられた有意義な機会であったと思いました。 ところで学期も進み、ちょうど後期で言う10月頃の忙しさというのか、結構多忙で、うかうかしているとあ…

宗教社会学で言えること。

「人間の精神に関することは、ある意味で、何でも宗教的であると言えなくもない」 大学院への勉強をしている時にある先輩から聞いたコトバです。 確かに、こと宗教というものを考えていくと、次第に「宗教以外」へも関心が及びます。 別に自分の仲間の多くが…

my プレイリスト。

音楽で話題が花開くこともある。というわけで、自分のmp3プレーヤーのプレイリストのひとつは、こんな感じです。 Without A Doubt / Black Sheep Viva La Vida / Coldplay What You Do ft. Ne-Yo / Chrisette Michelle Doin' It / Wagner Love Funkin for Ja…

社会学は何の役に立つのか

ということもまた、大きなテーマですね。 ギデンズの『社会学』の冒頭には、社会学は、社会をより良く理解する事で、社会的提言につながることがある、ということと、「自己啓発」(!)に役に立つ、ということを明言していますね。なお、この「自己啓発」は…

現代瞑想論

葛西賢太先生より、下記の単著をいただきました!現代瞑想論―変性意識がひらく世界作者: 葛西賢太出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2010/03/01メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (5件) を見る瞑想や変性意識状態といった、個別具体的な宗…