GREEK

アメリカの大学キャンパスに行くと、似たような大きさの一軒家が建ち並び、しかも、そこにギリシャ文字2〜3文字のロゴがつけられていることに気づきます。それが、Fraternity&Sorority、つまり男子友愛会、女子社交会などと訳されているものです。
おこなわれていることは、日本の大学の学生寮にも近いのですが、珍妙な入会儀式があったり、全員同じユニフォームを着たり、パーティをしたり、先輩・後輩同士で魂のブラザー、シスターを決めたりといったことです。
米ABCで、この友愛会を題材にしたドラマ「GREEK」が放映されていますが、このほど日本のFOX Lifeチャンネルでも放送開始されました。

青春ドラマにはよくある構図ですが、友愛会の世界とは対極の、科学専攻のマジメな新入生男子が、友愛会に加入します。実は彼の姉は、同大学の女子友愛会の古参有力メンバー。彼女のボーイフレンドも、別の友愛会のリーダーだったりします…
兄妹(姉弟)を軸に話が進んでいくあたりは、90210を思い起こさせますが、従来のドラマよりも、人間関係や、(時に同性間の)嫉妬心、ナワバリ争いなどが、よりどぎつく展開する感じです(笑)
有力友愛会に優先加入させてもらえる代議士の娘、母親も友愛会出身であるというだけで加入してくる、カゲではダサいと馬鹿にされている少女などなど…。彼らが興じる馬鹿げたゲームや入会儀礼も(誇張されてはいるのでしょうが)上手く描かれています。ただ、こうした友愛会は人種別のイメージが強かったのですが、このドラマでは割とRacially Mixedに描かれています。
日本人は、時にアメリカに対して、個人主義的な人々であると一方的に理想化してきたようなところがありますが、こうした友愛会の世界を見ると、結構集団主義的な事柄を彼らも楽しんでいるようにすら思えます。「日本の高校生はなんでみんなおんなじような格好をしているんだ?」とアメリカ人に訊かれたら「FraternityやSororityだって同じようなもんでしょ」と言えばちょっとした反論になるかもしれません。
アメリカ社会も、日本とはまた違った仕方で、「この場ではこう振る舞うべき」というコードが意外に堅固だったり、「顔は笑って数分後には貶す」といったホンネタテマエが見え隠れしたりしています。ゴフマンが微細な社会的演技に注目するのも無理はないような文脈がそこにはあります。
本国ではシーズン4まで決まっているようで、なかなかの人気ドラマのようです。アメリカ若者文化に関心がある方にはおすすめです。