ラスベガスの催眠セミナー、再び。(ヘンテコピープルUSA)

読みたかったと思っていた本が翻訳刊行されました。

ヘンテコピープルUSA

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イギリスBBCに、「ルイ・セローのウィアード・ウィークエンド(奇妙な週末)」という番組がありました。
パーソナリティであるルイ・セロー氏が、(ヨーロッパ人から見れば)ヘンな「アメリカ現象」を突撃取材する、というたいへん面白い番組で、日本でも、かなり前にBS朝日でちょっとだけ放映されていたようです。
私が以前に観たのは「ラスベガスの催眠セミナー」の回でした。「億万長者になるセミナー」をラスベガスで開いている、典型的な自己啓発野郎であるマーシャル・シルバーをはじめとして、現代アメリカ催眠術ビジネスのあれこれを紹介したものでした。
ルイは番組中でその入門セミナーに実際に参加するのですが、果たして、本当に億万長者になった人など居るのでしょうか…という疑念を示す、なかなか印象的なエンディングでした。イギリス人らしいややシニカルな視点が面白いのと、セミナーの様子をかなりカメラにとらえているのがすごいな、と思いました(マーシャルのセミナーの内容自体は、日本の自己啓発セミナーにかなり近いものでもありました)。

さてこの本は、ルイ氏が、このシリーズで出逢ったヘンテコな人々に再び会いに行くというノンフィクションです。当然、マーシャル・シルバーについての章もありました。
今回、明らかにされていることもあります。
・番組後、マーシャル・シルバーは、返金ポリシー不履行で受講生から訴えられ、罰金刑を受けた
・番組中に登場する弟子、マイケルとの再会には成功。彼は中古車のセールスマンをやっていた
・ルイは、マーシャルのセミナーに再潜入を試みるも「警備員を呼ぶぞ」と追い出されてしまう
・マーシャルはカナダでセミナーを開催中(訳者あとがきより)
この回についてのYou Tubeコメント欄もかなり辛らつなものが多いですが、やはりかなりアヤシイものとして、評判が落ちてしまった様子が窺えます。
翻訳がちょっぴり硬く、また番組を観ていないとわかりづらいところが若干ある感じはしましたが、ルイが番組のハイライトを本文中で描写しているので、基本的には番組を知らなくても充分楽しめる内容です。あと、解説が村上春樹さんです。