宗教体験を30日間!?

マクドナルドだけを食い続ける体験を描いた体当たりドキュメンタリー映画スーパーサイズ・ミー」で知られるモーガン・スパーロックが、同様のコンセプトでテレビドキュメンタリーも撮っていて、日本でもWOWOWやDVDで観られます。
その第2シーズンのある巻はこんな内容です。
モーガン・スパーロックの30デイズ 第2シリーズ Vol.3 [DVD]
第6話「ニューエイジ体験を30日間」では、セールスマンの、ちょっとレッドネックぎみな巨漢の白人男性が、ニューエイジ体験に飛び込みます。スピリチュアルなライフ・コーチング、鍼灸、スピリットダンスなどに及びます。カッとなると手が付けられない彼は、ライフ・コーチとの対話を通じて、自分のガールフレンドとの関係も良好になっていきます。同シーズンでは最も成功した体験記であり、2000年代アメリカの等身大ニューエイジを知るのにも役立ちます。
第5話「無神論者と30日間」のほうが、地味ながらもっと衝撃的です。無神論者協会に所属する、それ以外は至って普通の主婦が、福音派の一家の家に住み込むという内容です。
毎週教会に行く代わりに、その実験台主婦さんは、一家を無神論協会のミーティング(スポーツバーみたいなところで開催)に招待します。そこに居る無神論者たちが何とも、真面目そうで地味な服装の壮年男子たちなのです。
ある意味、ごりごりの無神論者というのは、究極の「空気読めない人たち」なのかもしれません(私自身そういう気[ケ]があるからです)。神や宗教的信念というものは、そこに仲間が居て初めて居心地良いストーリーとなるものであり、仲間意識の究極のかたちなのです。
そして、そんな無神論者に実は冷たい宗教国家アメリカの姿も見え隠れしています。教会こそは、人種的カテゴリーにおけるニッチであり、社会的承認の場でもあり、聖書やキリストといった聖なるシンボルで人々が結びつく場(そのシンボルを承認しない人たちは排除される場)なのです。