「こんなことしちゃぁご先祖さまに申し訳ねぇ」
とゆう意識が日本人の倫理規範に果たしてきた役割まで否定するつもりはないのですけれども。
「江原啓之スペシャル 天国からの手紙」というのは何なのでしょう?
子どもを事故で亡くした父母。
娘二人を殺された家族。
大黒柱の船乗りの父を失った一家。
そうゆう人たちが、江原氏の霊視をありがたく聞きます。
江原氏は、死んだ人のメッセージを伝えているのだと言います。
これには、いくつかの構造が見えました。
1 まず、家族メンバーの死後、その死者がみえるなど、遺族に「不思議なこと」が起きています。つまり、江原的世界にそもそも親和性のある人たちが対象となっています
2 かつ、そういう人たち自身が、直接番組に依頼しています。つまり「クライエント」の責任において霊視がおこなわれているわけですね(番組からすれば一種の「逃げ」かもしれません)
3 話のオチは
・死んだ人はあなたがた家族を見守っている。離れていない
・究極には家庭をまっとうに存続させることが何より大事
・罪悪感を感じなくていい
・残った家族は天寿をまっとうすべき。後追い自殺などしてはならない
というもので
4 そして必ず、今生きている家族同士が思いのたけを告白、号泣する場面があります(必ずしも死んだ家族には関係のないテーマだったりします)。円卓を囲む家族にとって、江原氏はまるでグリーフ・ワークのファシリテーターのようです
江原氏も批判を認識はしているような口ぶりでしたが、死人をネタに金儲けをしているという印象を持つ人もいるかもしれません。
また江原氏は、「あいつは邪魔だ」などの「[ネガティブな]言葉の殺人はやめましょう」と言っていました。
しかし、社会には声を出して批判すべきことだってあるのではないか? とも思います。
他人の尊厳を傷つけるモラルハラスメント人間は必ず存在します。そういう「事実」を口にしてもいけないというのは、弱者への抑圧に他ならない時だってある気がします。
「守護霊さんがみんな見守っている」「子どもは親を選んで生まれてきた」というが、爆撃であっという間に殺されてしまうイラクの老若男女の運命にも、何らかの意味があると言うのでしょうか?
ほんとに死者が霊視できて声が聴けるなら、世田谷一家殺害の真相を霊視したらどうなのでしょう。そんなツッコミを入れたくなりました。