日本の大学でも「アカデミック・ライティング」を必修にすべきです。

この時期、いや、この時期だけではありませんが、学生指導においてよく問題となるのが、レポートや卒論におけるいわゆるコピーペースト問題です。
原理原則としては実は単純で、
・他人の文章をあたかも自分の文章のようにそのまま使ったら、それは盗作・ひょうせつ。
・他人の文章を紹介する時は、必ずカッコに入れて示し、出典(どの本の何ページからのものか)を明示する。
ということに尽きます。
私がこれを最初に習った時「日本人学生は、他人の文章をよく盗作することが見受けられるので注意するように」とテキストにも書いてありました。

しかし、実際には、こうした無断借用は、なかなかなくなりません。
盗作が判明した場合、これは国によっては、学問の世界から永久追放されるぐらいの罪とみなされます。
本来ならば、レポートに盗作が見つかった場合、その学期の科目をぜんぶ不可にしてもおかしくはないぐらいなのですが、日本の大学内でこのことを議論していると、結局のところ「学生自身がそうしたルールを充分に知っているとはいえない」という話になったりするのです(!)また、大学院生ですら、よくわかっていない学生さんが時々おられます。

これに対する有効な対策は、もはや「日本語によるアカデミック・ライティング」を、大学全体の必修科目にするか、または1年生の基礎ゼミなどをアカデミック・ライティングに特化した内容の演習にするのがベストだと私は思います。
アメリカニクラベテオクレテイル、という論理で話をするのは好きではありませんが、この件についてだけは、アメリカですと、おそらくどんな僻地のどんなレベルの大学であろうとも、アカデミックライティングのクラスは1年次必修だと思います。

「引用の作法」を熟知することは、過去の「知」に学び、自己の思想を確立する際の、不可欠なファースト・ステップだと言えるでしょう。