社会学のワクグミとは?

大学院生になった頃、先生方が、この論文の枠組みは? 君の論文のワクグミは? とよく仰っていて、その意味が最初はなかなかよくわかりませんでした。
今の立場からパラフレーズするなら、それは、
・論文や著作の前半では、
・世の中の数多ある現象の中でなぜそれを取り上げるのかを述べ、
・過去にそのテーマについて社会学でどのような議論がなされてきたのかを、具体的な学者名、論文名3〜4つほどとともにしっかり要約・紹介し、
・その上で、自分の議論の新たな貢献はどこにあるのかを、不充分でも良いので、展望でも良いので示す
ということだったんだな、と思えます。
ただここで注意してもらいたいのは「君の新たな発見は?」と言われると、たいてい皆身構えてしまうのですが、「新しい貢献」というのは別に、それまでの議論の「大幅な刷新」を図れとか、これまでの大先生たちに「全面的な反論」をしろというわけでは決してありません! むしろたとえば「より丁寧に論じてみた」とか「これまでは事例A, B, CだったのにDという事例を付け加えて考察した」とか、あるいは「これまでは1国の事例だけだったが他国の事例とも比較してみた」ということだって、充分有意義な貢献になりえます。
そしてこのことは、修士論文計画書、研究計画書、大学院の願書などにも、共通して要求されることだと思います。