ニセ科学フォーラム2008@学習院大学

に行ってきました。

水からの伝言」などを批判している学者グループによるもので、たいへん面白かったです。

ニセ科学と言っても、その範囲は波動から9.11陰謀論などにまで及びます。
一番興味深かったのは、クーン、村上陽一郎らの「新しい科学観」が、悪しき相対主義的な科学観につながり、ニセ科学を結果として後押ししてしまうことになりかねないという批判でした。
科学も人間が作ったもので、理論によって事実も違ってくる…こうした発想は、小学校の理科教育の指導要領(の副読本)にすら見受けられるそうです。

生活感覚で言うとどう見ても自明なことを、認識論に耽溺することで話をかえってややこしくしたり、オカルト的なものを結果として応援してしまったりするのは、社会科学のほうがむしろ多く見られるような気が私はします。

また、ニセ健康情報の批判的権威による話も有益で、サプリメント、抗酸化物質に効果は証明されておらず、ものによっては死亡率を高める可能性もあるとのこと。で、長生きする方法とは、食べ過ぎず、適度に運動し、野菜や果物を多く食べることなんだそうです(笑)。

話はニセ科学普及勢力に情報面でどう対抗していくかという話題にもなりました。断定的で、ビジネスやアフィリエイトにからむ情報のほうが、どうしたって今のネットでは大きくなってしまいます。たとえば「ゲルマニウム」などについては、正確で冷静な情報のほうが圧倒的に少ないようです。

ちょっと内輪ウケ的なジョークや人名の言及が気にはなりましたが、全体としてはたいへん情報量も多く、学者にとっての情報発信のあり方についても考えさせられる、たいへん素晴らしいシンポジウムだったと思いました。